雪印

劇変する雪印
大阪食中毒事件の原因
原因不明
「再利用」をめぐる誤解
対策
ブランド崩壊は一瞬
7人、集まる
存在価値
創業の精神
体質が悪いって何?
土下座広告の反応
使命と役割の違い
顧客志向
私は命を作ってる
ブランドは、マーケティングでもなんでもない
情報公開のあり方
賛同者を増やすために
社長との付き合い方
夢を語ろう
ロイヤルユーザー
伝える努力
現在の危機管理体制
社会貢献のあり方
これからの雪印を見てもらうしかない

キーワードと
キーセンテンス


黒澤酉蔵:
1885-1982 足尾銅山鉱毒事件運動の最中に投獄。裁判で無罪となった後、北海道へ。宇都宮仙太郎、佐藤善七と出会い、雪印の前身である北海道製酪販売組合連合会の創立に関わる。「健土健民」のほか、「三愛主義」(神を愛し、人を愛し、土を愛する)を唱えた。ちなみに宇都宮、佐藤もクリスチャンだった。

品質

健土健民

キリスト教徒



 
雪印乳業 土岡英明+稲葉聡 



創業の精神

土岡さん (創業者の)黒澤酉蔵という人は、NHKでちらっとね、前あったんですけども、昔あの田中正造という人がいますよね。あの、足尾銅山事件というとこでどんどんどんどん、その、手足がしびれてる不思議な状態を起こすのに、銅山の垂れ流しをしていく。生活用水、川の水ですから、みんなおかしくなっていく。田中正造という人がそのことを国民、市民運動として変えていくんですね。そこに小僧っ子としてくっついていて運動してたのが、黒澤酉蔵なんですよ。で、彼が北海道に渡って、当時の北海道酪農民っていう、ホント、ないんですよね、北海道って。米作もできないし。ちょうど位置が一緒なんですね。デンマークと一緒ですから。デンマークが酪農地帯だから、なんとか北海道民を豊かにするのは酪農しかないって言って、牛1頭から始めていくんですよ。

 それをやり出したのが、彼・・・黒澤酉蔵で、企業の使命って儲けることじゃなかったんですよ。国民の体位向上だったのと、さっきの、牛の乳をどうやって大事にして北海道酪農民を育てていくかっていうところがスタートなんですね。品質を守るために入社条件が、禁酒・禁煙に丸坊主なんですよ。私たち、今やれって言われたムリですけど。これが入社条件です。東洋一の品質設備を導入した・・・これ大きいだけじゃないですよ。サニタリーがすごかったんですね、当時。それから第一人者を採ってくる。だから当時の創業者は全部、オハイオ州立大学とかで最高の乳技術を学んだ人たちしか、入ってこなかったんです。で、ロンドンに初めて日本からバターを輸出して、日本人がこんなことができるのかって言われるバターを作るんです。当時、バターをカットに売りに来るとお婆さんが「いやあ、いい鬢付け油だけど臭いね」とかって言ってた、そういう時代ですからね(笑い)。

 で、「健土健民」っていうのは、あの、これ、健やかなる大地には健やかな民を育てるって直訳するんですけど、ホントは違ってて、これ循環農法なんですね。今でいう循環農法なんです。太陽が当たって牛が芽踏みをして最後は堆肥を土に戻すんですよね。それを牛が食(は)んでまた牛乳を作るという、今でいう循環農法の創始者なんです。この人の最大のは、あの、いわゆるキリスト教徒ですね。だから全て、祈りです。そういう人たちが本当は作った会社なんですよ。というところに戻ろう、というところで、社員に聞いていくんです。で、社員に聞いていくのに、こういうペーパー作ってみんなに持っていって、ホントに、「ちょっと集まって」ってとかってやって回していくと、「雪印の存在価値って何?」それから「雪印で誇れることって何?」「雪印の強みって何?」っていうのを書いて下さいっていうのを出すんですよね。書けない。

稲葉さん 書けないですね。

土岡さん この当時、みんな、書けない。なんにもなくなりましたっていう。で、その時に言っているメッセージは、「忘れているんなら思い出そう」と。「弱まってるなら強くしよう」と。「ないんなら作ろう」と。ということをずうっと訴えてこれを読んでいくんですよ。

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