雪印

劇変する雪印
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原因不明
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これからの雪印を見てもらうしかない

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雪印乳業 土岡英明+稲葉聡 



社長との付き合い方


---これ書けないよーって言われた場合には、どう答えていたんですか?

土岡さん 書けないよーっていうのは、大概私たちに回ってきますから。(一同笑い) 書きますよ。それはやっぱり書かないと。まぁホントにね、バカヤローメールだとか、もうホントに、ひとつのメール書くのに1時間・2時間平気でかかってましたよ・・・書けないですよ。「お前ら、気付いてばっかりか」っていうのもあるし。ホントね、辛かったですよね、4月・5月はもうホントにメールが来た瞬間に、こう、もう向き合わなきゃって思うんだけど、やっぱり引けるんですよ。でも書かなきゃって思って。でもそういうことを、例えばボランティアで頼んでその方が書いていただいた方は、ま、あの、メールだけでも参加したいっていう方でも十分活動やっていくことになるんですよね。私、会ったこともないような人が、メール書いてもらってますよ。あの、お礼するんだけど、未だに顔が浮かばない人がいっぱいいますよ。

---あとはあの、経営陣に理解されるっていうことで・・・先ほど言ったあの、ABC(放送)の・・・

土岡さん あ、ABCの・・・

---(ABCのサイトから引用)「しかし土岡さんらの活動は経営陣になかなか理解されませんでした」って書いてあって。間違ってないんだけど、別の・・・上のほうだったり、社内の論理だったり、っていうお話ですよね。それでたぶん、活動を続けていけば続けていくほど、やっぱり、社員から変えるっていっても、やっぱり、上のほう、最終的(に問題を解決する)にはやっぱり上のほうだ・・・そうですよね、社の方針を決める、だから上の人たちが結局、自分たちと同じようなスピリットを持っている・・・そういう意味でのお客様第一主義みたいなのを持ってくれないと困ると。でも先週もちょっとお話ありましたけど・・・さっきも言ってましたね、金融支援とかそういうホントの経営の、そういう経済的な部分に(視線が)いっちゃってると。そういう中で、どういうふうに経営陣に持続的に、こう、アプローチをしていったのかなと。

土岡さん 一番最初、さっき話したんですよ。稲葉さんがひとりでプレゼン行った時に大混乱になりましたよね。

稲葉さん あー・・・

(一同笑い)

土岡さん ボコボコになりましたよね。

稲葉さん ありましたね。(笑い) 最初の時ですね。

土岡さん あの、私はだから、朝のミーティングっていうのを8時半ぐらいからやるんですね、当時毎日やってましたから。そこの席で、とにかく、ひたすら報告するんです。聞いてようが、聞いてまいが。

---(笑い)

土岡さん いや、聞いてくれますよ。で、ただし本当に刻々と数字が悪くなっていきましたからね。だから経営陣とすれば、それムリないですよ。その時に余裕があるっていうのは嘘だと思うし、だから、経営者が悪いとは思ってないんです、私。経営者が、与えられてる今の課題を自分たちで解決することと、私たちの解決するスピードが合わないんですよね。

---スピードですか。

土岡さん まず、スピードが合わないですよね。あの、その時にね、こういう議論なんですよ。失った信頼は、商品で失ったんだから、商品で取り戻そうっていうことになるわけですよ。それ、一見当たってるんですけど、本質は違うんです。

---そうですね。

土岡さん それは売上高を回復しようっていう言葉と一緒ですから。あの、私たちが言ってた体質っていうのは、この間あった、別にニッポンハムの「シャウエッセン」が品質事故起こしたわけでもなんでもないんですよね。(だから、商品で取り戻そうとしても)お客様買わないですよね。だから今の時代の商品っていうのは、パッケージがいいだとか、ハンドリングがいいだとか、味が美味しいだとか、どこどこの原料にこだわってますかっていうのは、まぁ、商品の持っている要素ですけども、ここにですね、見えないものは・・・お客様が買ってるのは、この商品を作っているバックグラウンドにある企業の姿勢だとか、考え方だとか、あの、一主婦の方が例えば、丸大食品の企業体質知ってるとは思わないです。思わないですけど、お客様にとっての今の商品っていうのは、このことを含めて商品だっていうのが我々の考えなんです。だからいかにこれを、マーケティング手法だとか、価格訴求だとか、広告だとかやったって、ここが治らない限りはダメだっていうのが、当時、経営陣と合わなかったっていうところなんです。

---さっきのアンケートにもありましたね。商品がイヤじゃなくて、会社がイヤなんだって。まさにそうですね。

土岡さん そうです。そこの議論が合わなかったっていうことです。それ、経営者もわかってるんですよ。だけど、わかってるんだけど、それを上回るスピードで落ちていったっていうのがあるんですよ、数字が。だからそれは当然あって然るべき議論だと思いますよ。テレビ的にはそういうふうに対極を作りますけどね。まぁでもそんなに、経営陣・・・うちの会社がどう変わったかっていうと、前も言いましたっけね、7階っていうのが役員室なんです。前行く時はこうやってボタン留めてですね、鏡の中でネクタイ直して、書類持って、「失礼します」ってこうやって(礼をして)入っていくんですよ。こうやって、ちゃんとご説明して、「はっ!」って、こう入っていくんですね。今もう、平気ですよ。Yシャツ1枚でタァーっと行って、コンコーンって(ノックするや否や)入って話します。全然変わってますよ。聞いてくれますしね。

---それは、どっちが変わった・・・両方?

土岡さん 両方変わったんじゃない?

稲葉さん たぶん両方変わったんだ。

---前回お話しましたけど、高野瀬社長っていう方が部長から一気にっていうような感じで。

土岡さん そうそうそう。それはだから、変わってますよね。結局、社長っていうのは、みんなが「社長が悪い」とかって言うけども、社長っていうのは社員が作っていくものですよ。そんな、神みたいな人はいないですよ。

(一同笑い)

稲葉さん ま、特にね、やっぱり創業者でない場合は・・・創業者はね、当然それの自分の理念を持って進めていきますから、初めからそういうの持ってるでしょうけど。こう、何代も続いてくような企業の場合は、社長だって成長しないとですね、企業がこう、拡がっていかないというか。

土岡さん だから、社長が変わっても、そこの企業の、さっき言ったそのDNAだとか・・・「DNAって何?」っていうことになるんですけども、やっぱり理念だとか考え方っていうのがしっかりしていれば、Aさん・Bさん・Cさんってキャラクターは差があっても、守っていけますよね。ホントあの、作る喜び、売る喜び、買ってもらう喜びっていう、あのフィロソフィーはずっと本田宗一郎から生きてますよね。あそこの会社って別にシェアナンバー1になろうと思わないって言ってますよね。結果的になろうとしてますけど、うちはその3つの哲学を満足する商品を作ればいいんだっていうのが、代々、創業者以外の人たちにも引き継いでますよね。そういう会社って、強いんだと思います。

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