雪印

劇変する雪印
大阪食中毒事件の原因
原因不明
「再利用」をめぐる誤解
対策
ブランド崩壊は一瞬
7人、集まる
存在価値
創業の精神
体質が悪いって何?
土下座広告の反応
使命と役割の違い
顧客志向
私は命を作ってる
ブランドは、マーケティングでもなんでもない
情報公開のあり方
賛同者を増やすために
社長との付き合い方
夢を語ろう
ロイヤルユーザー
伝える努力
現在の危機管理体制
社会貢献のあり方
これからの雪印を見てもらうしかない

キーワードと
キーセンテンス


行動・発信(話す・書く・会う)

一番大事なことは、体感するということ

反応はなくても必ず見てる人はいる


 
雪印乳業 土岡英明+稲葉聡 



賛同者を増やすために


---お話戻るんですけど、あの、最初7人で始まって、9割方のほかの社員の方からはいい感触を得ることができなかったっていう話でしたけど、めげずにそれでもやり続けたっていうことになりますよね。それで会として、会の活動、或いは精神っていうものを全社的に広めるために、具体的にですね、どういう行動をしたのかっていうのが、非常に興味深いところなんですけど。

稲葉さん ああ、全社的に広めていくために・・・

---そうですね。最初7人から始まって、さっきの話伺ったところ、日本中飛び回ったりとか、60人の方が(メンバーに)なったということでしたけど、それでも何千人単位という社員の方、今よりももっと多くの方がいらっしゃったわけですよね。で、やっぱりその、ともすれば出る杭になってしまうわけですよね。「そっとしといてくれ」っていう心情に油を注ぐわけですから。それに自己批判しまくりって感じですよね、さっきの衝撃的な広告じゃないですけど。そういう人格否定をやると、さっきもちょっと出ましたけど必ずそれに対して反発する声が出てくるわけですけども、その人たちをゼロにすることは不可能だと思うんですよね。でもその人たちをマイノリティーにしないことには、この運動っていうのは成功しないわけじゃないですか。少なくとも多くの人に、会のスピリットっていうのをメンバーにならずとも共感してもらわないことにはいけないわけですよね。そのために、その・・・

稲葉さん どんな活動をしてきたか。

---ええ、そうですね。

稲葉さん まぁ、ですから、まぁ、さっき流れの中でいろんな話がひとつひとつ・・・例えば交流会にしても工場開放にしてもいろいろあるじゃないですか。その度にですね、やっぱり社員がこう、顔と顔を突き合わせながら、もう、話していくしかないんでしょう。例えば、どんなにいいツールがあったとしても、それだけだとなかなかわからないですよ。だから、そういうのが今度、人伝いになっていくっていう、どうしてもやっぱりね、それはあると思いますよ。

---それ、直接ですか?メールではなく。

稲葉さん もちろん、メールっていう方法もあるんですけど、そうはいいながらやっぱり全く知らない人間にバーっと・・・社内とはいいながら、会ったことがない人間だっていっぱいいるわけじゃないですか。そういうのを繰り返しながら、やっていく。当然、メールもありますけどね。

土岡さん メールもありますよね。だから、さっき言ったように60人が集まりますけども、そのメンバーが自分の工場とか支店に帰っていくわけですよ。その工場とか支店で呼びかけるんですよ。で、増やしていくんですけど、そこにはやっぱり抵抗はありますよね。だけど、みんなめげずにやってますよ。あの当時ね。何やってるんだとか言われながらやってるけど、やって、広がって、徐々にやっていく・・・例えばじゃあ、その中のひとりが何人かを集めて工場長に、例えば、「工場会をやりたい」と。(すると工場長は)「待っとけ、今は時期じゃないぞ。」(メンバーは)「わかりました。(でも)今やりたい、やりたい」って言ってるんですよ。で、やるんですよ。だから、その時に関わってくる人は増えてくるじゃないですか。一番やっぱり大事なことっていうのは、「体感する」ってことなんですよ。あの、もっと言うと雪印の社員ってある種ですね、あの、論理性が高いとは言わないけど、頭の中で考える人が大半、多かったんですよ。よく言うじゃないですか・・・「ハートだよ」って言うけど、ハートじゃないですね。全部脳ですから。脳の中に知識をすごく感じる脳と体感する脳とのバランスが悪かったっていうのがあるんです。お客様と実際にその人たちが会って行動して、受け止めると、「やっぱりそうだったんだ」ってわかった瞬間に仲間が増えていくんですよ。

稲葉さん 段階がありますよね。だから、最初に会って話して、わかる人もいれば、そういうふうに、こう、「工場開放やりましょう」って言って、参加した時にわかる人もいれば。で、工場開放やった当日、お客様と会ってわかる人もいればっていう・・・だからいろいろいますから、だからそうやってやっていくと、どんどん増えてくる。当然わかんない人も、もちろんいますけども、そうやってやっていくと最初のひとりと話したって最終的には何百人になっていくっていう。それとあと、声を出さないけど、見てる人っていうのも中にはいるわけですよ。

---ああ、なるほど。

稲葉さん わかるでしょ。声は出さないんだけど、当然、だからこういう活動してますっていうことをやっぱりこういうのを使いながら流すわけ。何も反応はないんだけど、必ず見てるっていう人は、いますから

土岡さん そうですね。だからツールでいうと、メールマガジンっていうのを社員で発行してましたから、それを都度何かある時に日記風に書いたり、いろんなことを書いて、で、そこはね、登録してもらうんですよ。ま、それもね、登録するとクローズの世界みたいになっちゃうんで、それも良かったのか悪かったのかわからないけど、でも、そこで発信していく。それもやっぱり、見てるけど動かないっていう人でも、一生懸命見にこられるわけですよ。やっぱり、あの、全国で2000通ぐらいのメールを頂戴しましたけど、最初は、私たち7人は書いてないですね。あの、さっきちょっとお茶持ってきてくれた子なんかもいるんですけど、本社でボランティアを募るんです。ボランティアっていったって、みんな来てもらうの頼むよーとかっていうのはあるんですよ。で、みんなお弁当持って、昼食の時間に集まるんです。それで次のホームページにどういうの出そうかとかっていう編集会議をするんです。それ夜遅くまでやっていくんです。で、メールに対して仲間を増やしていって、「頼むよ頼むよ頼むよ」っていう感じで、で、あの、2000通のメールにひとりずつ答えを返していくんですよ。返せよバカヤローっていうメールには、でも書いていくんです。「回答不要」って来るんですよ。でも書いていくんです。

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