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キーワードと
キーセンテンス
品質・衛生管理のマネジメントの問題
犯罪
ブランドはブランド
グループは同じだ、同じ会社だ
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雪印乳業 土岡英明+稲葉聡 |
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へ
ブランド崩壊は一瞬
土岡さん その後、企業ビジョンも作り直しました。社員全員に聞きました。みんな大阪に行ってますから、痛みは全部わかってるんです。一生忘れないって言うヤツがいっぱい、いますからね。で、「大地とあなたをおいしさでつなぐ」っていう、まぁ、お客様と生産者とを私たちはつなぐパイプ役なんだっていうことをもう1回、ビジョンにしていくんですよ。こうやっていって、店頭でのサンプリングを配ったりするんですよね。復活のためにというか、復帰のために。その時はできたんです。品質衛生管理マネジメントが悪いっていう指摘を受けますから、マネジメントシステムを変えたり、制度・政策を変えることで、雪印はこういうふうに変えましたってことをちゃんとお伝えできたんです。私も最初に店頭に出た時は、もう怖くてですね、足が震えてたんです。で、パンフレット渡しても無視をされるし、「大変ね」っていうぐらいの話があればいいぐらいで「しょうがないだろ。お前ら、当然だろ」って言われるし、さらし者みたいな状態だけども、ひたすら立つしかない。目の前でお客様に1本買っていただいた時に、45度のお礼ができるんですよね。ホントうれしかった。ありがとうございますって。それを全社員がひたすらやっていくんです。でもそれは言えたんです。品質事故のマネジメントだから。
で、そうこうしてるうちにですね、MBPっていう商品を作って、やってって、これそうなんですけど、ちょうど事故の1年後ですね、信用できるだとか健康的だとか安心だとか、こういうとこ全部マイナスなんですけど、その1年後の11月頃になると、いろんな活動していく中で少しずつゼロポイントか右(プラス方向)に少しずつ増えてきたんですよ。まぁ確かに、相変わらず低いですけど。少しずつだけどお客様のイメージも回復しつつあった状態になりました。あんまり知られてないですけど、94年って雪印乳業が好感度企業でナンバー2なんです。日本の中で。確か女子学生さんの就職したい企業のナンバー1に理科系の時はずっと2年くらいランキングあったんですよね。これ何を言いたいかというと、ノスタルジーでもなんでもなくて、これだけ好感度ナンバー1でもこのことで全く、もう、一瞬にしてなくなるってことですね。それと同時にこれだけ好感度持っていただいた愛憎っていうか裏腹ありますよね、あれだけ信じてたのに裏切られたってのは、並の感じじゃないんですよ。だからこの意味はすごく重かったです。で、ようやくそういうふうにイメージが少し回復して、測るバロメーターがないんで誤解しないで欲しいんですけど、購入率という、お客様の購入率は今年の1月の時に事故の前年に対して70%強ぐらいになんとか戻りつつあったんです。
で、1月23日に牛肉偽装事件が発覚して、で、たった1ヶ月で1000億の企業が解散しました。この時とあの事故の時とは全く違うのはですね、これ(牛肉偽装)は犯罪なんです。ですから我々は店頭に立って、もう1回、というようなことはできないんですね。品質とか衛生のマネジメントは、「こういうふうに改善・改良できます」って言うけど、犯罪をした企業がですね、どう回復すればいいのかわからないし、もっともこの状態の時には、スーパーの店頭に立つと言ったら、誰も許可してくれないですよね。「立たなくていい」。で、一番ギャップがあったのがですね・・・正直その当時、私も本社にいたんですけど、報道聞いた時にはですね、グループの会社がやったことで「大変なことやったな」とは思うんですけど、やっぱり心の中ではグループだと思ってるんですよ。対岸の火事なんですね。で、正直、社員も雪印食品行ったこともないし、知らないんですよ。ただしやっぱり、ブランドはブランドですからね。お客様はこういう調子で「グループは同じだ」「同じ会社だ」。社員の人間はそう思ってないです、あんまり。
で、当時、稲葉がコントロールタワーになって、実は雪印食品に大阪の事故でいろんな対応した社員が行くんですよ。椅子は投げ、机は投げられ、ガラスは割られ、マスコミさんもやや扇動した節があったことは後で聞いてますけど、それは事実わからないですけどね、女子社員は泣いて机の下に潜り込んで・・・もう、しっちゃかめっちゃかですよね。でもそれはあらがえないんですよ、やっぱり。不祥事という犯罪を起こした企業だから、何されても仕方がないんですよ。耐えるしかないんですね。
ほ←此方 へ 彼方→と
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