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現在の危機管理体制
---すいません、じゃあ聞いてよろしいでしょうか。お話していただいた7人の方から始まった活動っていうのは、結局今はネスレスノーとかアイスクリームはロッテとか別れてしまったんですが、各地の会社それぞれ雪印から移ってしまった会社っていうのは、7人の方の思いみたいなものは全く届いてはいなくって、そのとおりには今は働いていらっしゃらないんでしょうか?
土岡さん あの、思いっていう意味ではですね、ある種、活動に・・・さっきの話だと正確なカウントはできないですけど、何らかの形でこの今までの半年間の中に関わったり、携わったり、或いは見てたメンバーもいっぱいいるんで、そのメンバーたちがそれぞれに培っているのはあると思うんですよね。ただ、その、企業形態を持っている企業としての目的っていうのはそれぞれ違うんで、ただひとつ絶対変わらないものは、お客様っていうのは変わらない・・・お客様に向き合う姿勢は変わらないですよ。どこ行ったって。私は、そのことは、たぶんみんな受け止めてくれてると思います。あの、実際のところ、これ・・・この冊子をですね、できたばっかりですけど、さっきの別れたメンバーみんなに配ったんですよね、で、そしたら、まぁこれ社内用に作ってますけどね、例えばビーンスターク・スノーっていう会社の社員は今何をやってるかっていうと、自分が担当しているところにこれを持ってって、自分たちはこういう活動しました、これからの会社も私こうしますって、説明して歩いてるんです。会社は変わりましたけど。その活動は今、それぞれやってますよね。だから部数追加してくれとか、結構あるんですよ。早く言ってよ、っていうのがあるんですけどね、そういう思いは持っていると思います。
実は私も今日新しくなる日本ミルクコミュニティっていうところに社長を含む全役員に集まってもらって、お話をしてきました。こういうことをやります、やりましたっていう・・・雪印乳業としてですよ。でもこれはお客様にとっては雪印乳業も発生した母体ですから、お客様から言われているこのこと、期待されてるこのこと・・・ブランドとは、品質とは、安全とはってことは、必ずこちらの会社でも実現して欲しいと。という思いは伝えてきたんですけど。で、たぶん、そういうマネジメントシステムの中には、あの、一緒になって議論したメンバーも向こうにそれぞれ行ってますから、だからそのことは、時間はかかりますけどね・・・ゼロからのスタートですから。忘れてはないと思いますよ。
---いろいろ事件について、新聞とか雑誌とかになっちゃうんですけれども、いろいろ調べさせていただいたんですけれども、事件の当時の原因だとかそういうものが、その時の社長の石川社長の言葉で「情報が上がってこないんです」っていうのがあって、それは先ほど説明していただいたのを聞いていますと、原因がやっぱりその、調べる機会がなかったとか、そういうノウハウがなかったとか、そういうふうなのだと思うんですけれども、こういうふうにやっぱり消費者から見ていると、雪印は社長にも情報が届かないのかというふうに感じるんですよ。その時は情報の伝達というか、そういう意味では、きちんとなっていたんでしょうか?
土岡さん あの食中毒事件の時ですね?
---はい。
土岡さん 情報伝達は、あの、はっきり言うと・・・ま、これ、はっきり言うとというか、結果的には伝わってなかったんですよね。
---それは原因がわからなかったから、とかではなくて・・・
土岡さん うーん・・・原因がわからなかったから伝えなかったっていうことではなくて、当時のですね、そういった危機管理マニュアルの・・・一番、危機管理マニュアルで大事なのが、誰が判断をして誰が決裁をするかという、あの、固有名詞が入ってないとダメなんですよ。確か私はその時には、社長が判断をするっていうところはなかった記憶があるんです。品質管理委員会というか、品質管理をする部署が決裁をするってことはありましたけど、恐らく社長っていうのは、組織図上、確かに入ってたと思いますけど、実際の稼動する時にはそこに決裁を得るような仕組みがあったかどうかっていうのはね、私もそこはちょっとよくはわからないです。だから、今はですね・・・明らかにその時はわからないんですよね、確かにそこは株主総会で全員いなかったとかですね、情報っていうのがもう全然違うところにあったっていう問題もあったり、いろんな複雑性のものが重なってるんで、当時のルールがどうだったかっていうのは、正直、この、通常起こっている品質苦情に対する遥かなレベルを超えてるものっていうのは、過去1955年以降はない話なんで、そのことはよくわからないですけど、今のことを言うと、仮にそういう例えば重大な不良品の事故があった場合は全部、社長が入って決裁します。
あの、このことは、例えば社告を出すなら社告を出す、っていう決裁・決定だとか、或いはこの商品は回収するとかっていう決定は、それは全部、社長が入ります。それも一瞬のうちに入りますよ。今はもう、ドォーって現場で品質管理・・・時々フローするんですけどね、我々にとっては感知度を上げてるっていうか下げてるのがありますから結構あるんですよ、そんな重大・・・重大っていうのは、お客様にとっての、結果的に全然問題がなかったっていうのもいっぱいあるんですけども、アラーム鳴った時はダァーっと集まるようになるんですよ。で、社長が出てくる。で、例えば、神戸でですね、「ナチュレ」(ヨーグルト)が雑菌が混入してましたっていうのがあったんです。何月でしたっけ・・・
稲葉さん 7月、ですか・・・
土岡さん 7月ですね。あの、その時は、いち早く社告を出しました。これ出たらもう雪印アウトだねって言われながら、でもそれでもやるんだってことで社告を社長が決定しました、出しました。そういうふうにはなってます。それを終わって、そのことで良しとしてるのかって言ったら、実は違って、今、企業倫理委員会っていうのがありまして、外部から取締役1名・・・日和佐さんっていう60何歳の方ですけど、消費者生活団体連盟の事務局長であった、いわゆる見識の高い人なんですけど、あと、弁護士さんとか外部の人5人いるんですけど、専門家もいます・・・もちろん、品質管理の専門家もいます。
その人たちと、じゃあいったいあの時、あれはどういう原因で起こったのかという品質部会っていうのがあって、徹底的にやるんです。なぜその時あのことが起こったんだっていうことを、もう、2ヶ月ぐらいかけて、わかるまで、納得するまで、やるんです。それは内部の今までの雪印の論理ではできないことですよね。ある種、どっかで甘えも出るし、構えも入りますよね。正直、その時に外部の人がきちんとそのことを追究していきますから、もっと言うと、大樹工場っていうところは・・・今ちょっとまた、システム変わりますけど、月2回、例えば保健所さんが来られて、情報開示して下さいって言ったら、全部出しますよ。一切隠しません。いつどこで何時にトラブルがあったってことまで全部。今は抜き打ちになってると思います。ある日ぽーんと来られて、見せなさいって言われて、全部出す。それ、ほとんどの工場、そうですね。あの、ここでミスがあったっていったら、ミスがあったとおり出てきますから。それは今までではないでしょうね。たぶん、そういうこと、大きなっていう企業ではあんまりないと思います。
な←此方 ら 彼方→む
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