よ
ブランドは、マーケティングでもなんでもない
---まぁ実際、そういう会社でしたからね。昔はね。
土岡さん まぁヤマダさんからはね、雪印乳業はまぁ変な話、ムリして作った理念ではなくて、「天然の理念」であると言われて・・・
稲葉さん うんうんうん。
土岡さん なるほどなと思って。
---今、みんな、ムリしてブランドマネジメントだとか言って、作ってますけどね。
土岡さん そうですね・・・
---一番根本的な、宗教哲学の域のものが(創業時の雪印には)ありますからね。
土岡さん そう思いましたよ。あの、私はもうホントにね、ブランドマネジメントとかブランドってやってたんですけど、ブランドって、その時の捉え方っていうのが、ある種・・・ロイヤルユーザーを作ったり、或いはその、シェアの一助となるようなブランドの捉え方なんですよね。いわゆるマーケティング的なブランドっていう考え方が当時あったんです。自分の中にはね。このことを通じて初めてわかったのは、その前に雪印食品・・・雪印って雪印っていう名前をいっぱい付けてきたんですよ。雪印運輸っていうのもあるんですよ。それから雪印種苗っていうのもあるし。雪印○○ばっかり作ってきたんですよ。なんでそんなことしたのかなってなると、それはね、「ドアノッカーブランド」なんです。見知らぬとこ行って、コンコン(とノックして)・・・「雪印です」って言ったら、大概入れてくれるし、会ってくれるんです。だからドアをノックするための便利なブランドだったんです。でも今思っているブランドが、ブランドっていうのはお客様に対して約束をするということ。お客様が期待をしていることに対して、その期待を裏切りませんと約束をするっていうのがブランドだと思ってるんで、ブランドというのはマーケティングでもなんでもないですね。極めて深いものだと思うし、それが理念だろうと思うし、使命だと思うんですよね。なかなかできないですよ。雪印も今カッコいいこと言いますけど、まだまだですよ。(笑い) 今ようやくスタートラインに着いたばっかりですから。
---それを本当に実現していくのが、非常に難しいですよね。
土岡さん そうですね。人間の意識っていうのは、そんなにすぐ変わらないですからね。気付きはありますよ。この間もみんなで話した時に、「どこの時代の雪印が好き?」って聞いたら、「この半年の雪印が好き」って言いますよ。今、あの事件前の時と比べると、定義は別としてね、社内でいろいろディスカッションするんです。新しい理念を作ろうっていうんで、今、社員同士でいろんなディスカッションするんですけど、「お客様」っていう言葉が、べらぼうに出てくるんですよね。そんな会社じゃなかったですから。明らかに変わってるのは、そこです。すいません、一方的に喋りましたね。(笑い)
---いやいや・・・(笑い)
土岡さん せっかく来ていただいたのに、なんかお伝えしたいことがいっぱいあり過ぎてしまって、夢中になってしまって申し訳ないです。
---いえいえ、それは望んだことですから。(笑い)
か←此方 よ 彼方→た
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