5憩 Go to Goto! 聖餐三昧一体伝 -

崎県上五島町/島市/崎市- 第6
第1日 第2日 第3日 第4日 第5日
長崎(ながさき)
(第6日朝食)
N05-024(第147号) いちごのサンド(トランドール) →

N05-025(第148号) サンライズ(トランドール) →
N05-026(第149号) 豆パン あんこ&ホイップ(ココストア) →
<いちごのサンド> ¥280(込)
本品は見た目が非常にふくよかであり、それだけ心惹かれるものがある。苺のカッティングはとても「上手」なもので、カスタードも上等なものとは云い難い。しかしパンがなかなか美味しい。適度に弾力性があり、やわらかで口触りシルキィである。そのお蔭でカスタードや苺の存在感が後から活きてくる。
形状→★★★★☆ 風味→★★★★☆ 総合→★★★★☆
<サンライズ> ¥280(込)
「サンライズ」を見つけると、日本の西の方へやってきた気分になる。東京では殆ど馴染みのない代物だが、メロン香料無しの非常にマイルドなフレイヴァのメロンパンと云ったところか。生地も余りボソっとした趣ではない。サンライズだけに中身の黄色さも際立っている。
形状→★★★☆☆ 風味→★★★☆☆ 総合→★★★☆☆
<豆パン(あんこ&ホイップ)> ¥126(込)
派手な一品だ。白パン生地に金時が入り、更に餡とホイップが付いてくるのだから。白パンだから風味あっさり、食感ねちねちもちもちと云った趣。中身の豪華さもあって食べ応えはあるのだが、興味が分散してしまうきらいあり。豆パンは金時オンリーで十分だ。
形状→★★★☆☆ 風味→★★★☆☆ 総合→★★★☆☆
香焼(こうやぎ)
 長崎と云う所は圧倒的に愉しいところだと思う。馴染みの函館や小樽も大好きだ。中心部の賑わいに寂しさを覚える部分はあれど、しかし愉快さに於いて決して引けを取るものではない。だが長崎は、周縁部も面白すぎる。それが長崎を、重厚長大にしてミニチュアのような多彩さ溢れる都市に仕立てている。この香焼と云う所もそんな魅惑的周縁部の一つである。元来島だったところを工業化によって埋め立てられて、本土と一体化した。埋め立てられた部分には三菱重工の大工場が進出し、臨海工業地帯と化しているが、元々の島だった部分には長閑な景色が広がる。香焼行きのバスに終点まで乗っていたが道中の車窓は実に面白いものだった。山あり、海あり、旧市街あり、新市街あり。連れて行かれた終点バス停の周辺では、意外なことに宅地開発が進められていた。なぜ意外か…人口が長期低落傾向にあったからだ。
 しかし高台から海辺へと下りると、まるで空知の炭鉱跡の周辺にでも来たかのような景色が広がっていた。後から知ったが、嘗て実際にこの辺りでは炭鉱が操業していたらしい。しかし空知との決定的差異は、海の存在にある。ぼうっと見える海の先には、こちらも炭鉱で名高く、日本屈指の人口激減地域でもある高島が浮いていた。軍艦島こと端島は、その更に先にある。
 ニュータウンと炭鉱跡の匂いと云う好対照な味を持つ香焼の西側からトンネルを経て東側へ移ると、そこには元役場や図書館があってついこの間まで独立した自治体だった名残が、未だ濃厚に感じられた。嘗ての町の中心部の前には海が広がり、漁村風景と云うわけではないが、しかし長閑な空気が漂っている。しかしここから先、東へ進むといよいよ件の埋立地域に入り、一気に工業地帯へ、三菱重工の城下町の中へと足を踏み入れることになる。
 とっくの昔に日本は第3次産業中心の社会となっており、工業地帯からは余り威勢の良い雰囲気は伝わってこない。昭和の匂いが濃厚に漂っている点で、工業地帯の香焼と工業地帯以外の香焼には確たる違いは無い。だがそうは云っても、この狭いエリアの中に大きく異なるものが隣り合って詰め込まれている点で、ここには他の場所ではなかなか得難いスペクタクル感が充満している。それぞれの場所の特徴がハッキリと出ている。行き止まりとなっている香焼だが近い将来、伊王島との間を結ぶ橋が開通する。風通しが少し良くなることでどのような変容を遂げることになるのか、その興味は尽きない。
長崎(ながさき)

(第6日昼食) N05-027(第150号) 吉宗定食(吉宗) →
<吉宗定食> ¥2,100(込)
まずやはり茶碗蒸しの大きさに目が行く。尋常ではない。丼ものに化けている。そして色鮮やか、デザイン性の素晴らしいごはんもの。これは寿司である。しかし蒸し寿司だから、寿司の割にはしんなりとおしとやかだ。豚角煮も良い味を出している。味自体もさることながら、しなやか且つ、ねばっこい口触りが、この定食の満足感をしっかりと引き出す役割を担っている。
形状→★★★★★ 風味→★★★★★ 総合→★★★★★
 豪勢な食事の後に、朴訥と喋るように地を這った。1時間・2時間と歩いたが、やはり長崎の街の面白さは異常である。飽きることが無い。好奇心が尽きることが無い。こんなにも鬼ごっこをしたくなる街は他にあるまい。坂の街は雪のようだ。子供にとっては愉しい遊び場、老人にとってはしんどい修羅の場。しかし歓声は聞こえなくなっても、坂の街が育む感性は、創造的で瑞々しい。坂は人の心を吸引し、人の体は遠ざける。
 途中、「矢太樓」と云う風格あるホテルで休息を取った。長崎には、その地形を生かして崖のような場所から眺められるホテルが幾つかあり、その建物自体が、長崎の景観の威容と云うものを形作る一つの要素となっている。
 これほど無数の人間の生活への執念を覚える街の波と云うものは、余り見られる光景ではない。今日も雨でも、今日も坂でも、狭く積み重なって時を刻む…これが長崎の生と云うものだ。
(第6日夕食) N05-028(第151号) 長崎しっぽく弁当@長崎駅(膳菜家) → 
<長崎しっぽく(卓袱)弁当> ¥1,300(込)
弁当だから吸い物こそないが、卓袱料理のさわりとしては十二分すぎる。豚角煮・ぶり煮つけ・十六寸豆等の煮物・海老・焼売・長崎揚げ・胡麻団子等々。デザートもあって完璧に〆られる。この値段でこの内容はお買い得感がある。
形状→★★★★★ 風味→★★★★☆ 総合→★★★★★
→第6日旅程→
長崎駅前 →長崎バス→ 恵里  
香焼口 →長崎バス→ 長崎新地ターミナル
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東美餐珍帝國風土記目次
as of 2011.02 / uploaded 2018.0219 by 山田系太楼どつとこむ

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