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第5憩 Go to Goto! 聖餐三昧一体伝 -
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第1日 |
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福江(ふくえ) |
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(第2日朝食)
N05-003(第126号) 洋食@五島バスターミナルホテル → |
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まだ夜が完全には明けきらない冬の朝。向かった朝食会場を前にしばし絶句した。そこは昔ながらの会社の保養所の朝食会場のような雰囲気に包まれていた。街もホテルもギャップが激しい…五島福江の強烈に残る印象である。
形状→★★☆☆☆ 風味→★★☆☆☆ 総合→★★☆☆☆
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船の出発には無事間に合った。船から降りる人、そして乗る人。日本の西の端の寂しさの内側には、活気ある港の風景が広がっていた。今の時代、人が分からなくなった。そして地域も、分からないものだ。経済的繁栄と街の活気は必ずしも比例しない。 |
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横浜のシーバスだとか、横須賀と猿島の間の船だとか、そう云ったごく短距離のカジュアルな観光船の経験ならあるが、考えてみれば本格的な匂いのする船旅は初めてに近い。それこそ幼年期に連れて行かれたヨーロッパでライン下りをして以来だろうか。この船は、長崎から一旦福江に立ち寄り、更に上五島は中通島の奈良尾へと向かう。 |
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本格的とは云っても奈良尾までは僅か30分ちょっとで着く。冬の荒れた海の只中へ突き進むものかと思っていたが、余りに揺れなかったことに拍子抜けした。まるでバスにでも乗っているかのように淡々と前へ進む航海だったのである。
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新上五島(しんかみごとう)
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到着した奈良尾は、中通島の南端に位置する。ここから上五島の中心地の青方や有川までは30`近くある。五島には鉄道が走っていないからバスに乗ることになるが、船に連絡する形で無料バスが出ていて大いに助かった。 |
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窓越しに映る上五島の集落を見ながら、遂に本拠の地を踏み締めたことを、噛み締めた。普通そこには無いものが、素知らぬ顔をしてドンと佇んでいるところに、日常と云うものの偉大さを覚える。しかしこの日常も大昔からあったわけではない。ついこの間、百年ちょっと前に確立されて、今へと至る。そんなものだ。未来は、どうだろうか。 |
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ホテルに荷物を預けた後、昼食用に名物料理を求めて、有川へと向かった。新上五島町は「平成の大合併」によって誕生した自治体で、それ以前の中通島には上五島・新魚目・有川・奈良尾の4町があった。ホテルは新上五島町の中心である(旧)上五島町の青方と、有川の中間に位置しているから便利である。 |
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<鯨定食> ¥1,200(込)
五島の食の名物として近年、うどんの売り込みを図っている。上五島は捕鯨も盛んだった歴史を有しているから、この有川の地で私は、川の流れのようなうどんと共に、鯨もチョイスした。うどんは上品な味わいで、太めのそうめんと云った趣がしてきた。鯨は大いなるシャーベット状が残存したままで、ただ冷たく、そして水っぽく、とても美味しく食べられるものではなかった。
形状→★★★☆☆ 風味→★★☆☆☆ 総合→★☆☆☆☆
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捕鯨が盛んだった歴史に因むモニュメントが、有川には豊富に散らばっている。その名も「鯨賓館」と称する施設があるほか、鯨の骨を鳥居にした珍しい神社も存在する。が、神社は私の領分ではない。これまた殊の外珍しい、石で出来た教会へ向かうことにする。 |
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この木の国日本で石造りの教会とは相当珍しいが、石造りだからと云って中が特段冷やかであるわけではなかった。しかし、分厚い鎧で固めている分、差し込む光の強烈さは増すのかもしれない。光と云うものは、世俗の現実生活だけでなく宗教的にも、とても重要なものだ。創世記で「光あれ」と神は述べ、秩序の基が創造された。或いはクリスマスが光の祭典であるのも、御子キリストがこの世の光だからである。しかし光を認識することが出来るのは、闇があるからである。神は御子の前に幾人もの預言者を遣わした。これら預言者に語らせたから、「あの御方」が御子なのだと認識することが叶った。神はまことにまどろっこしい。神業とはスパッと即断即決するような代物ではなく、手間暇を十分にかけ、回り道を繰り返す。 |
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頭ヶ島教会の名から分かるように、この教会は上五島(この紀行文の中で「上五島」と云う際には、旧上五島町のことではなく、「中通島を中心とする地域としての上五島」を基本的には指している)の本土とも云うべき中通島ではなく頭ヶ島と云う島にある。二つの島の間には立派な橋が架けられているのだが、実はここ頭ヶ島には上五島空港と云う空港があった。「あった」と云うのは、つまりは閉鎖されてしまったのである。付き合って貰った運転手(彼には小1時間待って貰った)によれば、欠航続きで余りアテには出来ない存在だったそうである。無論、この空港が稼働していれば、わざわざ福江に寄ることなどなく楽だったわけだが、あの福江の魅惑的特性に気付くこともなかったことになる。そんな福江があるから、上五島の神秘もまた増してくるのだ。手間暇をかけ、回り道をすると、神の業に出合うことになる。 |
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ホテルにチェックインして少しの間、休息を取ることにした。昨日とは打って変わって古臭くなく明るい感じのホテルだったが、洗面台と浴槽の蛇口は共用と云うスタイルであった。人間存在と云うものは、分からないものだ。対比と矛盾に満ちている。 |
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ホテルから青砂ヶ浦教会へ向かう道は、榎津・丸尾・似首と合併前の旧新魚目町の集落を伝う道となる。素晴らしくスペクタクルな画が展開されるこの道に、私はすっかり魅了された。長過ぎることなく、爽快な疲労感を覚えたままの距離感も、なかなか良い。魚の目が出来る心配もないだろう。人と自然が近接して存在し、そこに信仰が宿る。それは現代にあってもさほど珍しくはない光景だ。但しその中心にあるのは、神社仏閣ではない。ジーザス・フィッシュのキリスト教会である。海の向こうに、教会が見える。
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煉瓦と天主堂の文字が印象的な青砂ヶ浦教会は、これぞ東洋のカトリック教会と云う、歴史と伝統の重みを覚える教会だった。ザビエルの昔からあると云っても、或いはマカオやマラッカなのだと云っても通用する「カトリック」が備わっている。闇とステンドグラスが織り成す微かにおどろおどろしい空間は、骨の中に生きているかのような感覚をもたらした。こうして上五島初日、全体としては二日目の一日が暮れていった。 |
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<BIGハンバーグコロッケカレー> ¥498(込)
ピラフ・ハンバーグ・スパゲッティ。コロッケにカレーが掛かる。日本人は面白い食べ物を作るものである。安さを維持しつつ腹持ちが良さそうなものを、余り米に頼らずに詰め込んだ趣がしてくる。ハンバーグもコロッケも、冷凍的張り合いが素晴らしい。
形状→★★★☆☆ 風味→★★☆☆☆ 総合→★★☆☆☆
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<ごうかくりーむぱん>
受験シーズンならではの縁起物商品である。彼らにとっては豪華なのだろう。確かに口どけの良さを考えた表皮構造ではある。
形状→★★★☆☆ 風味→★★★☆☆ 総合→★★★★☆
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<もっちりおさつ蒸しパン>
蒸しケーキではなく蒸しパンだから、蒸しパンらしくハリのある味わい。甘さも控えめであり、芋と麦の素朴なハルモニアが展開されている。
形状→★★★★☆ 風味→★★★☆☆ 総合→★★★☆☆
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→第2日旅程→
福江 09:20 →九州商船 ジェットフォイル→ 奈良尾 09:55 |
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奈良尾 →九州商船 無料シャトルバス→ 上五島高校 |
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←第1日← 第2日 →第3日→ |
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