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第4憩 Shock! 新幹線がキタ!衝撃の食見聞記 -
北海道札幌市中央区/北区 |
北海道森町/八雲町/長万部町/函館市/北斗市- 第5日 |
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第1日 第2日 第3日 第4日 |
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森(もり) |
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<白い豆パン> ¥110(込)
北海道産ゆめちから28%使用とある。白パンにありがちな、もっちりとした感触の食み心地を実現させる上で国産小麦の強い個性を用いることは、自然と腑に落ちてくる発想だ。全体として融合していると云うよりも、個の力で攻める雰囲気に包まれている。
形状→★★★☆☆ 風味→★★★☆☆ 総合→★★★★☆
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<ストロベリーレアチーズパン> ¥180(込)
レアチーズをパンにしちまう…それもストロベリー。予想通りのフクザツな味わい。そして予想通りにパン生地は軽め。だがこれは、もっちりねっちりとした生地の方がストロベリーチーズ的クリームとの融合が重層的に進むように思われる。
形状→★★★☆☆ 風味→★★★☆☆ 総合→★★☆☆☆
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<青森県産りんごのホイップサンド> ¥250(込)
大きめダイスのりんごがシャキシャキとしていて、肯定的に捉えるなら、自然の風味、りんごらしさを活かした仕上がりとなっている。
形状→★★★★☆ 風味→★★★★☆ 総合→★★★★☆
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私は森に滞在しており、2日前には長万部を訪問した。道南3小都市の中で残っているのは、森-長万部間に位置する八雲のみである。八雲は3小都市の中で最も大きな町だが、八雲の中心部へ直接向かうことはせずに、一つ手前の山越で降りて、そこから歩くことにした。その方が八雲と云う町を感じることが出来ると思ったからだ。
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山越(やまこし)
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「山越」と云う駅名が暗示しているところではあるが、江戸時代、ここには関所が設けられていた。この関所が日本最北の関所だった。この山越(当時:山越内)を越えると、和人もまばらな未曽有の蝦夷地が広がっている。元々、八雲には、山越内村から分立したと云う経緯がある。ところがその後、両者の関係は逆転して、山越内村が八雲に吸収されてしまった。しかし山越の名は郡の名に残り続けて、山越郡八雲町として八雲の上に君臨し続けた。現在の八雲町は、2005年の熊石町との合併により新たに設立された二海郡に属するが、長万部は今も山越郡のままである。江戸から明治初期にかけて如何に「山越」と云う存在が大きなものだったか…関所を模した駅舎からも偲ばれるところである。 |
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駅舎内部はごくありきたりの雰囲気…かと思いきや… |
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…関所の様子を紹介するスペースが設けられていた。山越の誇りを感じさせる光景に思えた。 |
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海岸線の晴れやかな景色の中を気分よく闊歩していると、やがて鉄路を跨ぐ山越の道の奥に、八雲立つ尾張コ川の入植地・八雲の街並みが広がって見えた。今時分にはこの跨線橋があちらとこちらとを隔てる関所のように感じられる。噴火湾沿いに位置する八雲は海の町でもあるのだが、実は山の町・丘の町なのである。八雲の発展はその丘方面に負うところが大きい。八雲が山越を追い抜き、やがてこれを吸収するに至った理由もその辺りにある。この跨線橋をある種の関所のように感じた所以も、そのような生い立ちの違いによるところが或いは、あったかもしれない。 |
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海沿いから丘へと入る綺麗な白樺並木の道は、清らかな空気感に包まれていた。トラピスト修道院へ至る道に比べれば若干カジュアルな雰囲気も漂うが、その分、可愛らしくもある。木の白さと空の青さが織り成すメルヒェン模様は美しかった。そうして達した丘の上には「噴火湾パノラマパーク」と云う施設が佇んでいる。ここは道央道のハイウェイオアシスとして機能している施設だ。「パノラマ」を名乗るだけあり、眺めは良い。
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館内にはインフォメーションやトイレの他、「キッズアリーナ」「学習室」「会議室」等が揃い、カフェもある。うどんやカレーと云ったサーヴィスエリアらしい品書きが並ぶ中、目を惹くのが「ハーベスター八雲」の料理なのだが実はこの「ハーベスター八雲」、ここから至近距離である。ゆえにここでは食べずに「本店」へと回ることにした。 |
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正面奥の建物が噴火湾パノラマパーク。手前は元山牧場牛乳「エルフィン」。 |
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ハーベスター八雲の全容がくっきりと捉えられるにつれ、たまげてしまった。外観の様子からして流行っている店なのだろうとは思っていたが、何と大行列が展開されていたのである。これは完全に想定外だ。しかしよく見ると、行列は店内飲食客向けのものであり、持ち帰り客用は空いている。素晴らしい景色をおかずにしたいところではあったが、この混雑ぶりでは余り寛げそうになく、良い眺望の席に案内される望みも薄かろう。ここはおとなしく持ち帰ることにした。
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八雲(やくも) |
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丘を下って再び海沿いを突き進んだ。漁村と酪農地帯の交錯する土地柄を反映した景色が現れたりもしてなかなか面白い。しかしながら市街地の入口に差し掛かってもなお、茫漠とした趣のする風景が広がっているのは些か意外ではあった。長万部近郊のような底の抜けた寂しさこそ、皆無ではあるのだが。 |
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呑気に新函館開業を祝う傍らで、関係者の視線は北へ、札幌への延伸へと向かっている。八雲町内には新八雲駅が設置される。 |
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市街地を進むにつれて流石に茫漠とした雰囲気は失せたものの、大きいと云うよりも、がらんとしているなと云った印象を抱きながら、駅に辿り着いた。八雲は森よりも一回り大きいが、むしろ反対に、森の市街地の方が一回りほど賑わっている感じさえしてくる。まぁ、しかし、こんなものだろうか。名寄の方が士別よりも大きいが、市街地が士別よりも賑わっているのかと云えば余りそんな風でもない。或いは名寄や士別の人通りと比較して八雲が、特別寂しいわけでもなかろう。 |
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それでも旅館や飲食店が立ち並ぶ駅前風景には風雪に耐え抜いた貫禄があり、その趣は札幌-函館間の特急停車駅に相応しい。旅客のみならず貨物の大動脈でもあるから、新幹線延伸時に在来線が廃止となることはないだろうが、町の表玄関の座を新八雲駅に譲り渡すのは惜しい…そんな気持ちもふと湧いてくる立派な駅前だった。 |
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N04-026(第103号) やくもせんべい → |
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八雲には駅弁が無い。にも拘らず、森・長万部同様、キヨスクがあるのは、昨今の情勢を鑑みれば驚きである。待合スペースは改札前と一体的になっているから思いの外広く感じ、端には特産品を紹介するコーナーもある。どことなく無骨で華麗さとは無縁だが、普段着の実力と云うものを感じさせる。この地域の拠点らしさ覚える駅の風景が広がっていた。それでいて混んはいない。これはハーベスター八雲を食べる上で好都合だ。 |
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(第5日 昼食)
N04-027(第104号) ハーベスターセット+カントリービスケット → |
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<ハーベスターセット+カントリービスケット> ¥790(込)
基本的にケンタッキーフライドチキンと考えて差し支えない。ハーブチキンをあっさりと、且つスパイシィに仕上げている。ケンタッキーを一回りナチュラルテイストにした感じか。
形状→★★★☆☆ 風味→★★★★☆ 総合→★★★☆☆
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食後、帰りの列車が来るまでの間、八雲中心部を散策してみることにした。飲食店が比較的多いのは、自衛隊が駐屯している影響だろう。通りは良く整備されて、小洒落た雰囲気の商店が連なっている。大通一本に懸けている感のある森中心部に比べると、奥行きを感じさせる街構えだ。自衛隊の存在も含め、八雲は、民間ならぬ「民官」による町なのだなと感じさせる細かな貫禄で彩られていた。その点はやはり「道南の名寄」である。 |
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森(もり) |
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森に戻ると、相変わらず駒ヶ岳が綺麗だった。実に絵になる、惚れ惚れするランドスケイプだ。ぎゅっと鷲掴みされた我が衣手は、時の流れを前にして、スケイプゴートと化してしまう。身動きするのは勿体ない。だが、寒い。だから動けず、しかし余計に動き回りたくもなる。 |
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(左)駒大苫小牧高で活躍した田中将大が東北楽天入りし、東北高で活躍したダルビッシュ、そして花巻東高の大谷翔平が北海道日本ハム入りする…何とも襷がけ的で捻れた関係性になってしまったものだなと嘆息していたが、こうして北海道新幹線開業の折には、「東北出身」大谷の存在価値が急騰する面白さ。これもまたある種の「人生塞翁が馬」。
(右)東北の温泉に泊まろうと云うキャンペーンなら目新しくもないが、仙台でのランチを愉しもうとの売り出し方はなかなか衝撃的である。北海道新幹線の開業により道南から最も近い都会は札幌ではなく、仙台になった事実を物語る。とは云え、費用面等による心理的な壁はまだまだ高かろう。 |
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日の暮れた森駅前の、何の変哲もない景色が存分に、幻想的に映り込む。北の大地は美しく、絵になるものばかりだが、どの土地も、事実として観光地になれる素地があり、その前に私の中の真実では立派に観光地なのだ。遂に今、森到着以来、ずうっと気になっていたことを実行する段階に達した。これもまた観光なのである。 |
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それは駅舎内部に陣取る「ピザ テン.フォー」のことである。函館に本社を置き、北海道や東北ではメジャーだったようだが、北海道の道路地図を眺めていると矢鱈と目立つ存在で、どんなところか以前より興味を抱いていた。それが森駅で思いがけずも目の前に現れたのだ。非常にラッキーとしか云いようのない出来事だった。 |
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(第5日 夕食)
N04-028(第105号) カントリー男爵@ピザ テン.フォー →
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<カントリー男爵 ショウユソース M> ¥1,556(込)
男爵薯は、道南と縁の深い食材であり、最初にチョイスするピザとしては、最も相応しいように思われた。これをジャーマンポテトにしてトッピング。ピザで使われるポテトとしてはかなりホクホクとした感触だ。他にツナ・コーン・玉葱等がある。醤油で味付けをすると、忽ち濡れた趣になるところが面白い。
形状→★★★★☆ 風味→★★★☆☆ 総合→★★★☆☆
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森と北海道の最後の夜が、雪のようにしんしんと降り積もり、深まってゆく。その先にある明日には、いよいよ北海道新幹線を体験することになるのだ。ジグザグの在来線とは異なり、揺れない・切れない、それが新幹線だ。色々と問題もあるがやはり、乗る前の心模様としては、楽しみだとしか云いようがない。 |
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→第5日旅程→
森 10:05 →函館本線 普通(821D)→ 山越 10:39 |
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山越 →(徒歩)→ ハーベスター八雲 →(徒歩)→ 八雲市街 |
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八雲 13:58 →函館本線 普通(2842D)→ 森 14:38 |
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