6憩 イヅネノアンアイヅ -

島県津若松市- 第4
第1日 第2日 第3日
会津若松(あいづわかまつ)
 奥羽を覆う雪の背骨をテレビの画面越しに眺めつつ、大東北の南から飛び地のトーキョーへと戻ることへの寂しさを携えて寝床ごと這い上がった。

(第3日朝食)
N06-013(第170号) 朝食ヴァイキング@会津若松ワシントンホテル →
 最終日の朝、そこにすこぶる良い眺めがあるなら、去り難い気持ちはいよいよ高まる。この町と出合い、足で回ってまみえた街々との記憶は一層焼き付けられ、ほろりほろりと涙となって、脳の中を駆け巡る。
 4日目ともなれば、すっかり町にも馴染んで、自分の庭のように街を把握するようになってくる。いつもの歓楽の余韻を感じながらそそくさと「なかじま」へと向かった。最後の晩餐ならぬ昼餐に与るためである。
 一昨日にNHKでがっつり紹介されていた桜ソースカツ丼…これを試したかった。馬肉のソースカツに関しては、第2日の夕食でも経験はしているが「元祖」の店がどう料理するか、関心が湧いていた。

(第4日昼食)
N06-029(第186号) 八重の桜ソースカツ重@なかじま →
<八重の桜ソースカツ重> ¥1,680(込)
下段がメインの桜肉のソースカツ重となるわけだが、桜肉使用のソースカツに関しては第2日の夜にも食している。あちらは桜肉の専門店、対してこちらはカツの専門店であるわけだが、揚げる技術はやはりこちらに軍配が上がる。トンカツのようなふくよかさには欠けるけれども、硬さをどう処理するか、それなりに美味しい状態にするか、その部分に一日の長があるように感じられた。
形状→★★★★★ 風味→★★★☆☆ 総合→★★★★☆
 旅の始まり、終わり。そこには駅がある。素敵なバスターミナルもあるけれど、やはり駅の情趣の素晴らしさには堅いものがある。しかし芦ノ牧温泉駅で途中下車して良かったなと思ったのは結局、若松市内中心部には殆ど雪が無かったわけである。あそこで下車しなければ、この旅の当初の目的だった積雪を踏み締め、雪景を噛み締めることが満足に行えないところであった。
 帰りの列車も往路同様、「AIZUマウントエクスプレス」号。あのお得な特別車も連結されている。ラッキー!
 南会津へと入り分け進むに従い積雪量は目に見えて増えた。平らかな盆地の都会と、山間の集落は別世界だ。しかしそれも栃木県内に入ると急激に減り進み、遂には元の世界へと戻っていった。
 うわぁ、関東に…帰ってきたのだナァ。未だ北関東、東京大都市圏に入っているわけでもないのに、人の気配の濃密さは会津東北とは雲泥の差。幾ら田舎臭くとも「関内」と「関外」の違いは大きい。しかし関東らしい光景を前にしても、私の心は折れる位にげんなりすることはなかった。未だ目の前には会津の残り香がほんのりと佇んでいたからである。

(第4日夕食)
N06-030(第187号) 元祖煮込みソースカツ丼 持ち帰り用(なかじま) →
<元祖煮込みソースカツ丼 持ち帰り用> ¥1,050(込)
それはやっぱり当然ながら店で頂く方が美味しい。温かいと風味も富裕につき、浮遊してくるのである。冷めても冷めたなりに美味しいものは多々あるけれど、本品の場合は醤油系割下ではなくソースで煮込んでいるところが、凶と出る。瑞々しい風味が飛んでしまっている印象を受ける。
形状→★★★★☆ 風味→★★★☆☆ 総合→★★☆☆☆
 帰りはJR直通のスペーシアにして新宿着とした。洪水のようなネオンサインのお出迎えは、日本帝国の首府たる大東京に相応しい桁違いの華やぎであるように感じられた。都の西南の住人に浅草は些か遠い。更に1時間半近く通勤電車に揺られるのは、幾ら今日が祝日で、それ故にさほどの混雑具合ではないにしても、ゾッとさせられる億劫さと云うものがある。新宿からサクッと小田急一本で浪漫飛行することが出来るのは、疲労困憊の身には有難いことだった。
→第4日旅程→
会津若松 12:56 →会津鉄道会津線・野岩鉄道会津鬼怒川線・東武鬼怒川線 快速AIZUマウントエクスプレス号(3115D→3116)→ 鬼怒川温泉 15:02  
鬼怒川温泉 15:03 →東武鬼怒川・日光線・JR宇都宮(東北)・湘南新宿ライン 特急スペーシアきぬがわ6号(1066M)→ 新宿 17:19
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旅の中で遭遇した食物の内、本文中では触れられていなかったもの
N06-031(第188号) メロン(パン)(日新堂製パン店) →
N06-032(第189号) バターパン(金子製パン店) →
N06-033(第190号) ソフトみそパン(シライシパン) →
東美餐珍帝國風土記目次
as of 2012.12 / uploaded 2018.0228 by 山田系太楼どつとこむ

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