8憩 初の広い島の山と海-

島県次市/庄原市/島市/山市/三原市/岡山県笠岡市- 第9
福山(ふくやま)
(第9日朝食)
N08-040(第253号) 朝食@福山と~ぶホテル →
<朝食> 
福山駅前にすっぽりと収まる、と~ぶホテル。「~」が名前に入る脱力系ホテルも初めてだが、元々は東武鉄道系列の由緒あるホテルだったのである。地下1階のレストラン「ズッケロサーレ」が朝食会場。最低限の限と云ったところの朝食模様。ヴィジュアル的には結構まとまっていて、色合いも宜しい。その場で作ってくれるから、その分、美味しさは増す。
形状→★★★☆☆ 風味→★★★☆☆ 総合→★★★☆☆
 昼前だと云うのにそこそこの混雑が見られるのは流石、山陽本線である。福山は広島県に属しているが、備後国であり、安芸国の広島市とは風土が異なる。寧ろ同じ「備」繋がりの備中・備前、即ち岡山県との結びつきが密である。山陽本線も昨日訪ねた三原・糸崎で運転系統がほぼ分断されていて、広島までの直通列車は朝夕のみ。福山は完全に岡山側だ。
笠岡(かさおか)
 山陽本線に乗って15分、笠岡は福山に最も近い岡山である。北隣の井原と共に福山都市圏に含まれていて、井原と笠岡で「井笠」と称する。井草と荻窪が合併して誕生した井荻を思い起こさせる心地がしたが、両者が合併する気はないようだ。
 多くのタクシーやバスが待機する笠岡の駅前風景は実に魅惑的なものに映った。市の玄関口としての貫録がある。何の変哲もないと云いたいところだが、この素晴らしい光景は、駅舎が昔ながらの地上タイプで高架駅でも橋上駅でもないからこそのものだ。最近では必ずしも当たり前の光景では無くなりつつある。この駅前から井笠バスに乗って目的地へと向かう。元は井笠鉄道を運行していた会社で、バス専業となった今も社名としては井笠鉄道を名乗る。
 床が板張りの古めかしいバスに揺られて向かうは、カブトガニ博物館である。笠岡と云えばカブトガニ。駅のホームにもオブジェのように展示してあった。しかし干拓などによって生息域を奪われ、昨今は風前の灯の様子である。
 博物館では恐竜に関する展示も結構なウェイトを占めていた。カブトガニだけでは如何にも地味、客を呼べないと云うことか。生きた化石と生きていない化石の共存を前に、カブトガニが単なる化石になっていない幸せを感じる。それと云うのもカブトガニはとても美しかったのだ。
 生きているカブトガニの姿はどこまでも透き通っていた。今まで見てきたものはどれも標本で、こげ茶のイメージがあったから、全く意外なものとして映ったものである。生きていると云うことは透き通っていると云うことなのだ。澱んだり濁ったりしていたら、それは生きていないようなものなのである。

N08-041(第254号) 夫婦かぶとがにまんじゅう@藤屋 →
 博物館からの帰りは駅まで歩くことにしたが、中心部に入るにつれて生きている化石が目立ってきた。遠目から見る分にはうっそうと茂った密林のような空間もあったが、内部に入り込むと差し込む陽光も手伝って存外明るく見えた。

N08-042(第255号) ブレッチェル@岡山木村屋 → N08-043(第256号) にくまん@岡山木村屋 → N08-044(第257号) あんまん@岡山木村屋 →
 笠岡は三原と比べて静かであった。新幹線の駅は無く、港も駅前とは反対側にある。活気の規模は小さく、またその度合いが分散されることを余儀なくされる。その分だけ、昭和の匂いもまた濃密であった。カブトガニと云う昭和の遺産に抱かれている町らしい趣だった。
福山(ふくやま)
(第9日かなり遅い昼食)
N08-045(第258号) 松茸すきやき弁当@福山駅(浜吉) →
<松茸すきやき弁当> ¥1,050(込)
 元来、福山の駅弁は地元の「鞆甚」が手掛けていたが倒産、その後に三原駅弁の「浜吉」が進出してきたものだが、今ではすっかり福山の駅弁屋になっている様子である。昨今の駅弁界の情勢を鑑みるに、もし三原単独のままであったなら、今日まで存続していたのかどうか。しかしそれにしても、本品は非常に美味しい。本邦の駅弁の中で三指に入る美味しさである。肉のしっとりとした趣が素晴らしい。肉質・肉感・甘み、どれもこれもバランスが良い。御飯とも良く合っている。しっとりとしているから馴染みやすいのだ。松茸抜きでも非常に満足するが、本品を幽玄な存在とする上で、良い働きを松茸も担っている。
形状→★★★★☆ 風味→★★★★★ 総合→★★★★★
(第9日夕食)
N08-046(第259号) 幕の内弁当 島めぐり@福山駅(浜吉) →
 N08-047(第258号) 因島のはっさくゼリー(尾道市農業協同組合) →
<幕の内弁当 島めぐり> ¥950(込)
 しまなみ海道の玄関口として機能する福山駅ならではのデザイン。さながら俵むすびが広島本土で綺麗に仕切られたなます、肉団子、唐揚げと云ったおかずが瀬戸内の海に浮かぶ島々のようだ。俵むすびは御飯を美味しく感じさせてくれる魔法。
形状→★★★★☆ 風味→★★★★☆ 総合→★★★☆☆
<因島のはっさくゼリー> ¥160(込)
蜜柑がしんなりしつつもシャキッとした趣は失わず、それが良い。甘みと酸味のどちらをメインにするか、その選択・融合塩梅は中々難しかろう。口直しには手頃なサイズ感。
形状→★★★☆☆ 風味→★★★☆☆ 総合→★★★☆☆
→第9日旅程→
福山 11:32 →山陽本線 普通(1752M)→ 笠岡 11:46
笠岡駅 12:00 →井笠バス→ カブトガニ博物館前 12:13
カブトガニ博物館 →徒歩→ 笠岡駅
笠岡 14:35 →山陽本線 普通(459M)→ 福山 14:49
←第8日← 9 →第10日→
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as of 2012.03 / uploaded 2018.0526 by 山田系太楼どつとこむ

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