夜景評論家丸々もとおさん
2003/11/12@立教大学
1 2 3 4 5

何故に夜景の前でカノジョを口説く?

「で、出向は解除になってリクルートに戻ってきて、今度は「リクナビ」っていう・・・リクナビは知ってますね?」

---はい。

「リクナビの当時わたしは副編集長だったかな。だからマネジャーとして残ってるんですけど、02-03辺り、わたし一応メインでやっていて、02-03生ですよね・・・04のときにはわたしもう辞めてるんで、02-03生のリクナビのいわゆる編集のウェブの、ま、ウェブマスターですよね・・・ということで仕事をしてたんですね。で、それを一年ぐらいやって、それからわたし、独立してるんです。ざっくりいくと・・・ざっくりって全然長いですけど、こういう、ま、生い立ちなんです。で、辞めたきっかけっていうのはですね、一緒にこう、仕事と夜景をやってるわけなんで、ホントに睡眠時間がないような状態がずっと続いているわけなんですね。まぁ当時、1992年に初めての夜景の本を出してから、今までに夜景の本を全部で16冊ぐらい出してるんですけど、毎年、一冊から二冊・・・で、CD-ROM出したり、DVD出したりとかいろいろやっていく中で、凄くそのビジネスというのが、広がってきちゃったんですね。で、例えば、だんだんわたし、人生的な哲学じゃないですけどね、創造力を持って編集するっていうことが、凄く大切だなと思っていて。AというものとBというものをいかに結び付けてシンプルに答え出していくのかっていうところって、なんか何事にもやっぱ基本だなあと思ってるんですね。そこに対する創造力っていうものが、新しいCという形でも、歪んだCであったりとか、例えば凄く尖ったCになったりとかすることで、足し算にいかに創造力を費やすかっていうことが凄く大切だなって思ったんですね。っていうところに、編集的な要素が凄く生きてきているんですけど」


「例えば、1999年に夜景っていうものには色があるんだなって思って、ま、元々はね、なぜカップルは夜景の前で人を口説くんだ・・・カノジョを口説くんだろうって思ったんですよ。で・・・(笑い)、女の子をなんで夜景の前で口説くのかって思うときに、絶対理由があるはずだと思ったわけですよね。で、理由がないと納得しないわけですね。なんでみんなこんなに東京湾とかお台場行ってとかね、口説いてるのかなあと思うと、水辺の効果というものとかあとは視覚的な効果っていうものが凄く大きい。で、視覚としてやっぱり、色っていうものが少しあるのかなあってそのとき思ったんですね。で、色彩心理学みたいのを学んで、カラーセラピーとかいろいろね、色と夜景というものの・・・さっきのAとBじゃないんですけど、夜景と色彩心理学っていうものを組み合わせていったらどんなことができるだろうかっていうことを考え始めたのが、99年の後半だったんですね。ま、そのときそういうので本を出してるんですけど」


生きているうちに夢を叶えるために

「っていうように、そのときがきっかけになってね、自分が夜景っていうコンテンツ・・・自分が持っているオリジナルかオリジナルじゃないかわからないけれども、コンテンツと何か世の中の事象っていうものを組み合わせてアウトプットしていくと、きっとなんか面白い答えっていうのがどんどん出てくるんだろうって思ったんですね。で、ずうっとそれは、なんでしょうね、リクルートにいたときもやっぱり思っていたし、リクナビに帰ってきたときになおさら強く思ったんですね。で、実はその、振り返ったときに、ひとつのテーマ・・・AとBを結び付けて答えを出すときに、自分って、どのくらいの日数を費やしたんだろうって考えたんですよ。3年かかってたんですね。で、バッと整理してみると、30テーマぐらいあたんですよ、やりたいことが。今もっと増えてますけど。30テーマぐらい掛け合わせしたい・・・AとBの掛け合わせをしたいと思ったんですね。そしたら、30×3か・・・90かぁと思って。当時36(歳)だから90足すと146(→126)か、みたいな。・・・死んでんじゃん」

---一同笑い

「あぁ、ダメだなって(笑い)。俺ってこの時点で、自分がやりたいと思ったことをやれないで死ぬ自分が見えたんです、そこに。と思ったら、なんで俺、働いているんだろうって話になって、じゃあ、ここはいったん会社辞めてですね、それで、140歳とか150歳までにやれるテーマみたいなものを、70歳ぐらいまでにできるようにするためにはどうしたらいいのかということを、まぁ、36歳ぐらいになって考え始めたんですね。で、今までって、10個ぐらいテーマがあったら、ここを取っていたんですね・・・(ジェスチャーで説明)ここに夜景っていうのがあって、ここ取っていたんです。たぶん、その方程式がちょっと違ってるんじゃないかなと思ったんですね。組み合わせ・・・このひとつ取って、組み合わせて、3年かかるんですよね。この取り方も間違ってるなと思って、これ、こうじゃなくて、縦に並べればいいと思ったんですね。縦に並べて、こう取って、またこう置いたら、こういくんじゃないかって。ドミノ倒しみたいに、こうなってくと、これ結構行きやすくなるとちょっと考えて、自分のテーマを横に配置したのを縦に配置するように・・・言葉じゃなかなか表現できにくいんですけど・・・いうようにして、自分の夢っていうかやりたいこと叶えていくっていう考え方にちょっと変えてるんですけど。まぁ、そうやってやっていけば、なんとか7、80ぐらいまで・・・なんとか生きられたら、一応やりたいことをやれて死ねる、みたいな」


価値が付いたから、人は買う

「っていうことがあって、一年ちょうど半前ぐらいに、ま、リクルートを辞めて、独立をしてるという経緯なんですね。ま、ですから、ずうっと話すと夜景評論家になったきっかけって、小6の頃からあり、そこからたぶん編集的なところというものをやりながら、結果的にはたぶん、夜景っていうコンテンツ・・・呼吸するがように例えば自分が思っていたものが、あるきっかけで、自分を振り返ることによって、発見して、それをその、まぁ、編集的な発想で、どうやったらみんなを満たしていけるのかっていうのを考えて、まぁ、ずうっとやってきて。で、今は、ものとものを組み合わせて、違うものをアウトプットしていく段階の、まさにあの、途中というか渦中というか真っ只中にいるような、そんな感じなんですね。でもね、全然ケロリとしているというかね、いろいろやってて、確かにそのときは辛いなと思ったことはあったんですけど、幸いにも辛いの全部忘れる性格なんですよね。痛みとか・・・自分が凄い辛くて死にそうになってるっていうぐらい、こんなになって、会社のデスクとかソファの下で寝てたりとかですね、いい思い出にしかならなくて、今は全然何事も辛いとかは思っていない・・・元々、辛いということを思わずに、ただやりたいことだけを考えていくためにも、方法論を考えて、それを確実に形にしていくっていう、そういうことなんですね。夜景評論家って、まぁ、変な肩書きで怪しげな、そういう世界もあるんですけど、まぁ、なんでもそうでね、例えば水っていうのは、わたしの時代は、買うものじゃなかったんですよ。だけど、価値が生まれたから、人は買うんですよ。同じように夜景っていうものも、ただ見るものとしてあったんですけど、見方だったりとか価値が付くことによって、それはまた人が買うものになるんですね。で、たぶん世の中ってそういうことだと思うんですよね。で、まぁ、いろいろ夜景と掛け合わせていく中で、現在の仕事みたいなところにいくと、いろんなものと・・・AとBを掛け合わせて、仕事にしてるんですね」


夜景プランで付加価値を

「整理して喋るというか、わたしいつも思い出しながら喋るんで、まとまってないんですけど、例えば、夜景と宿泊という考え方でいくと、そういうものを出すということもひとつのアウトプットであるし、あとはそのホテルに泊まるための宿泊プランを、ホテルとタッグを組んで作ってあげるというのもわたしのアウトプットなんですね。現在、例えばホテルニューオータニっていうところ、竹芝のインターコンチネンタル・・・東京ベイですね。それから神戸のメリケンパークオリエンタルホテルであったりとか、阪急インターナショナルという大阪のホテル、全日空ゲートタワー、それからホテルオークラ神戸・・・例えばそういったところに、一緒に夜景プランやりましょう、みたいな感じで、プラン化して、ホテルの全部の部屋をわたしが見て、「この部屋にお客さんを泊めさせて下さい」って感じにして、付加価値を付け、且つ、そこでの照明の調節の仕方みたいなものであったりとか、そこに入れ込むためのいろんなね・・・わたし、結構アナログなんで、夜景コンパスとか夜景盤とかですね、夜景メガネとかいろんなそういうものをね、下町の工場のオヤジとかのところに行って、「こういうの作れませんか?」みたいなことをやるんですけど。そういうのを作ってもらって、10特典ぐらい袋に入れて、部屋に入ると、それが置いてあるんですね」


「で、泊まった人は、綺麗な夜景を見ながら、「あ、このぐらいの時間にこういうことをすると、こんなふうな効果があるんだ。癒しの効果があるんだぁ」ということを楽しんでもらう宿泊プランなんですね。これは面白い・・・さっきの水の話じゃないですけど、そういう付加価値を付けることによって、価格っていうのは凄く、高まるんですね。実際、4万2000円ぐらいのお部屋っていうのが、それがあるだけで(割引せずに)4万2000円で売れるんですね。で、ウェブでしか販売していないのに、この価格で売れるんです。で、ウェブっていうのは基本的に、半額とか半額以下とかでがんがんがんがん売ったりして、安かろう的な世界なんですけど、ホテル的には定価で売れたほうが嬉しいわけですね。グッズ代とかも数千円ですから、安いんですよ。ですからそういった意味では、ホテルも嬉しいし、わたしも客室が売れれば売れるほどマージンが入るっていうことで、まぁ一応、Win-Winの関係にある・・・そういうようなアウトプットの仕方」


「例えばレストランとかバーはどうなるのかっていう話になると、まぁ最近・・・今年の7月にやったのは、(ポスターを見せながら)こういうバーをプロデュースしたんですね。で、こういうあの、わたしのホームページを見ていただくとわかるんですけど、生駒の広大な私有地・・・カントリークラブを持っておられるオーナーさんが、夜景資源を再利用したいということで来た話なんですね。そのお話の中で・・・これは何かっていうとチャペル・・・教会をですね、夜景のバーに週末変えてるんですね。で、そこに対して、照明を入れ込んで・・・ま、計算して照明を入れ込んで、席をこっちで購入して入れ込んでですね、メニューを作ったりとか、宣伝もしたりっていうことで、総合的に要はお店をプロデュースしていくっていう。夜景をより美しく楽しく見させるためにはですね、どんなお店作りをしたほうがいいのかっていうことをアウトプットとして出してるってことですね。これは先ほど言うところの、夜景っていうものとレストランバーといったジャンル・・・既存のジャンルっていうものを掛け合わせたときに、レストランバーの本はさんざん出してるんですけど、立体的にしていくためにはどうしたらいいかって考えたときには、お店をですね、自分で創っていくっていうことなんですね。これが最近のアウトプットのひとつですね。で、まぁ、ホテルがあって、それでレストランがあって」


「当然、学術的なところでは、夜景学みたいなところ、考えていて、ずうっとやっているんですけど、例えば色彩心理みたいなものと夜景っていうのを組み合わせて・・・例えば欧米の光治療っていう、ま、光の治療学っていうのがあるんですけど、例えばそういったものと夜景を組み合わせたときに、例えば身障者の方っていうか、夜景によってどうやって救われるのか・・・気持ち的にですね、っていうことだったりとか、身体に痛みのある人っていうのは夜景によってどうやって軽減されるのか、みたいなところをですね、例えば根拠を持って考えていくみたいなこと。で、こういったとこで得た知識っていうものを、こういったアウトプットの中で再度、付加していくっていうところでさっきのドミノ倒しが起こるんですけど。
で、レストランとか宿泊とかそういったもの以外に、例えば町おこし的なことっていうのも、やっぱりやっているんですね。それはあのう、観光としてはやっぱりなかなか地域が活性化していないんで、夜の観光に非常に危機感があるんですね。それは長崎の・・・例えば夜景っていうのも、まぁ、なかなか人が来ない。で、なるべく日本人よりは、もう韓国とか中国とかそういった方を呼びたいという方向にやっぱり変わってきてるし。例えば函館とかであれば、街の灯がやっぱり、ちょっと過疎化があって、夜景がちょっと消えつつあって。で、それによってたぶん厳しくなるというか。観光地それぞれの課題があるんですね。そういったものを夜景で何か解決できないかどうかというところを、いわゆるコンサルテーションしていくっていうところが、ひとつのわたしの立ち位置なのかな。ま、誰も今までこんなことやっていないわけで・・・っていうことなんですね」


日本中に眠る付加価値を見つけてみる

「例えばね、この間の夏は、鳥取の観光協会・・・(鳥取)市の観光協会に呼ばれて、直行便で行ったんですけど、それはあの、漁火っていう・・・イカを釣るんですね、漁火があるんですけど。日本海っていうのは、まぁ、時期によって、漁火っていうのが凄く綺麗なんですね。これはまさに夜景のうちのひとつなんですけども、鳥取の資源として、観光資源として、いわゆるあそこ砂丘ばかりですから、砂丘でなかなか人来ないんですね。夜は漁火が凄い綺麗だってことは、地元の人は日常的になっちゃってて、当たり前なんですね。あの漁火っていうものはね。全然やっぱり、あの、気付かなかったんですけど、夜景として捉えた場合にはこんな面白さがあるんですよということをわたしが解説にいって、価値を付けてあげれば、それが彼らが人を集客するためのネタとして、やっぱり使えるわけじゃないですか」


「あとはその、結局は会社更生法を受けてしまいましたけれども、そうなる前のハウステンボスとかね、去年の今頃は行っていたんですけど。ハウステンボスって人がなかなか昼間・・・日中っていうことであれば来るんだけれども、夜になると誰もホテルから出ないんですね。で、出るためのやっぱりきっかけが必要なんですけど、ハウステンボスって夜凄く綺麗なんですね。綺麗だけど人出ないんですね。それはやっぱりどこに行ったらいいのか、わからないんですね。それはなぜかっていうと、ゲートを出るとみんなオレンジ色のライトアップをしてるんですよ。全部オレンジ色なんですよ。オレンジ色って一瞬綺麗なんですけど、あの・・・全部ね、奥の街並みも手前の街並みも全部同じ、統一された色彩だったりすると想像がついてしまって、更にこう、奥へ行こうっていう気にはならないんですね。もしその先に青っぽい色のヤツがあったら、「あの青っぽいのなんだろう?」って一応こう、行ってしまうわけなんですけど。そこにきっかけ作りっていうのが全然されたなかったりとか、いろんな課題を抱えていたんですね。っていうこともあって、ハウステンボスの夜の楽しみ方っていうのを一般向けにどうやってやったら・・・いわゆる訴求させたらいいのかっていうところを、ま、ナイトオリエンテーリングみたいな形をね、提案して、それをその・・・なんていうんですかね、向こうの記者会見で発表したとか・・・いうようなことなんで。その、アミューズメント施設の夜の課題っていうのを解決していく、それからそういう観光の・・・観光地に於ける課題を解決していくということだったりとか」


「あとは、情報配信みたいなところはさんざんやっているんで・・・コンテンツビジネスっていわれるところでね、夜景情報ってわたしもう、凄く、全国全部クルマで見て回ってるんですね。今、クルマ・・・4、5年なんですけども、20万キロですよ。あの、クルマでこう、巡るんですけど、いろんな漁港に行って写真撮ったりとかね、いろいろするんです。「あ、月が満月だ。綺麗だなあ」バシッて。で、そういうスポットがやっぱり何千何万とあるんです。そういったものをケータイの公式コンテンツの「夜景スタイル」っていう中で。で、これはマルチキャリアで、iでもezでもボーダフォンでもやってますけど、そういったところに配信して、いわゆる課金収入ですね、ま、それで、マージンをいただくっていう感じのビジネスをして」


兄弟で夜景生活を

「っていうところをわたしひとりと、まぁ、何人かのアシスタントと、それからうちの弟がこういった写真を撮ってるカメラなんですね。まぁ、美大に行ってて、わたしが夜景評論家で勝手に独走していたんですけど。で、彼もうちの父のデザイン事務所でデザインを自分でやりながらね、写真を趣味でやったりとかしてたんです。いつまでもね、やっぱりね写真をね、普通のカメラマンのようにやっていてもね、やっぱり人生ってなかなかキャラが立っていかないんですよね。で、やっぱりキャラ立つためにはですね、オリジナルのやっぱり何かをめざしていかないと、誰も注目してくれなくって。カメラマンの人って一番最初にだいたい、あの、フリーになってですね、自分で展覧会やりたいとか写真集作りたいとか、みんな志持つんですけど、みんな、忙しいからということで、そういう夢とかどんどんどんどんなくなっていくんですよ。で、日々の銭稼ぎのための仕事になっていっちゃって、それをねやっぱり、よくないなと思ってるんですね。で、そんなカメラマンたちが編集者生活しながらさんざん見てきてるんで、ま、うちの弟にはそうなって欲しくなかったというのもあって、無理やり夜景の世界に引きずり込んで「お前は夜景専門カメラマンじゃ〜」みたいな感じで(笑い)、「夜景フォトグラファー」という肩書きを付けてですね、ま、やって、一緒に10年ぐらいやったら、結果的に角川からかなりね、フォトグラファーとしての写真集を出すことができたし、展覧会も今もやってますしね」

---(本の中にある夜景の写真を示して)こういうの全部そうなんですね?じゃあ?

「そうです。全部そうです。最初のわたしが本名で出してる本だけ、うちの弟が撮っていなくって。それ以外は全部、弟が撮っているんですよ。家内制手工業(笑い)。で、デザイナーなんで、こういうデザインとかも実はうちの弟が全部やってるんですね。だからデザインとか・・・で、文章とスポットを決めて評論していくっていうのはわたしの作業なんですけど、デザインと写真を撮ってっていう、印刷までの工程ですよね、印刷所に入れるまでっていうのは、うちの弟が全部やるんですね。っていう感じで、ふたりいればもう、作れちゃうんですけど、そういうようなやり方でしてるんですね」


「っていうことで、凄く夜景っていうものとほかのものを組み合わせて何か新しい視点を、コンテンツっていうか何かその表現、みたいなのを売り出していくっていうことが、まぁ、わたしのベースになって、毎月毎月いろんなアウトプットをしているっていうのがまぁ、評論家としての現状っていうことですね。今はあのぉ、ちょうど来週の20日からやっぱり町おこしみたいなところがあって、中目黒の駅のすぐ近くに「中目黒GT」っていうマンション、住居が一体化したちょっとした、まぁ、コミュニティのスペースがあるんですね。で、なかなかやっぱり、人が来てくれないというのがあって、そこでじゃあ、展覧会をやってくれないかと、まぁ、中目黒の人に頼まれてですね、19日納品で、20日から2月の15日ぐらいまで展覧会をやろうというようなことで」


「で、今月は、関西のオークラとか神戸メリケンとかっていうホテルプランがまぁ、数週間後に立ち上がっていくんですけど、11月の27日か8日ぐらいですかね、関西で初めての夜景のこういうムックですよね。別冊。わたしが総監修で、ま、今作っているんですね。それが今月末、いよいよ発売になります。東京はこういう本って、まぁ、雑誌が特集したりとかですね、こういう夜景だけのものってわたししか出していないんですけど、こういう本って東京にはありますけど、関西には一冊もないですね。で、これはこれでブラック(マーケット)だなあと思っていて、一応ムックを出すことになっているんですね。で、そんな模様もね、ずうっとテレビが追っかけていて、今週の土曜日の10時半、テレビ東京「BB-WAVE」って番組があります。で、早い話、それを見れば、こいつ何やっているんだってすぐわかるんですけど、ま、「ぴあ」のほうに行ったりとかですね、ホテルプランで取材してるシーンだったりとか、そういうリアルなわたしの怪しい活動がですね、そこでお披露目されてるっていうのが、10時半から12chですね」


前へ進んでいるというリアリティを感じたい

「って感じで、まぁ、独立してから一日も休みなく平均2時間とか3時間寝てないんですけど、そんな感じで、身体ボロボロになりながらですね(笑い)、どこまでやれるのかというところを追い求めて、ま、やってると。まぁ、ダブルワークをやっていて凄く・・・あの頃のほうが楽だったなあって、メリハリが効いてね、サラリーマンって楽だったなあって思っていて。何が楽だというとね、結構こういう例えばメンバーが集まって会議とかしますよね。ひとりぐらい遅れてきたりとかいろいろやってると、会議なかなか始まらないんですよ。始まらない時間でちょっとムダ話するじゃないですか。で、電車で移動している時間、自分の時間を余分に持てるわけですね。で、この時間って結構、リセットするには凄い、いい時間なんですよ。夜景評論家の今の活動って、なんでもかんでも自分でバーっと、とにかく休みなく、間も何もなく動いてるんで、全くこう、なんのトゲもないんですね。で、寝るのはですね、朝のだいたい7時とか8時ぐらいですけど。でまぁ、10時ぐらいに起きてっていう流れなんで、本当にその間も身体が結構ね・・・今日も終わってから関西行くみたいな、そういう移動の仕方を平気でしてるんで、ある意味、無駄な時間っていったら変ですけど、空いた時間っていうのがね・・・サラリーマンのとき、どっかそこでちょっと楽しているって、ダブルワークでもまだあったんですけど、今はダブルワークじゃなくって、ひとつのことで好きなことをやりながらも、全く無駄な時間がないっていうのが、ま、非常に、なんていうんですか、悩みの種なんですけど。一番まぁ、ちょっと深刻になってきているっていうところでは、一応あるんですけどね。プライベートは、ないですね」

---なんかこう、気が休まるときがないんじゃないですか?なんでも、「あ、これはこう使えるんじゃないか」とか・・・

「そう」

---全部アイディアになって、いいのが閃いたときは確かに気持ちいいんだけれども、それをやりすぎるともう、生活が崩れてなくなっちゃう。

「うん、それでいいと思ってるから。だからなんとなくね、日常的にはね、常にね、走ってたいわけよ。走ってたいのね。よくね、関西とか広島とか行ってね、いろんな人とかに・・・ま、鳥取とかもそうだけど、「なんでクルマで来るんですか?」って言われてね、「走ってたいんです」っていう答え方はしないんですけど、なんかね、すっごくね上昇志向が強いと思うんですね。といってね、出世したいとかっていうことじゃなくて、自分がやりたいことを叶えたいっていう意味での上昇志向でしかないんですね。有名になりたいとかそんなこと全然思ってないし、お金を凄く稼ぎたいとか別に思ってないですね。ただ、自分がやりたいことをやれればいいっていうだけの上昇志向なんですけど、上昇志向をキープするためにはですね、なんかこう、自分の力で前に進んでいるっていう感覚が欲しいんですよね。・・・電車に乗ってると動かされてるって感じでしょ?」

---一同笑い

「それが凄くイヤで、「なんで俺はこんな電車に動かされてるんだろう?」っていう。クルマに乗っていると、自分がブレーキ踏めば止まるし、自分がアクセル踏めば進みますよね。自分が行きたいところ、とりあえず行けるし。自分が動かしているんですよ、全部。だから4時間半で大阪行けっていえば行けるかもしれないし、8時間で行けっていえばゆっくり行くし・・・っていうことなんだけど、結局そうやって自分でなんでもできるっていう。その、自分が一分一秒、前に進んでるっていうリアリティがそこにあるんですよね。だからわたしはクルマに乗ってるっていう、ただそれだけの理由なんですけど」



交差点の前で目を閉じたことがありますか?

「あとはやっぱり動き方としては、さっき仰られたみたいな、全てネタになってくるっていうのはね、たぶんちょっとひとつ、違うなと思ったのは、目だけに頼ってないようにしようと思ってますね・・・夜景評論家でありながら。視覚はほぼ80%以上、人間のね、感覚の中で取られてるわけなんですけど、「じゃあ、あなたは交差点の前で目を閉じたことがありますか?」みたいなことなんですね。やっぱりどこでも人は情報を受けて刺激を受けることができるっていうことがわかると思うんですね。立教からね、(池袋駅まで)地下に潜って帰るのもいいんだけど、「たまには地上に出て空を見たほうがいいんじゃないの?俺らのときは、(地下通路が完成していなくて)地上しかなかったんだぜ?」っていうね。毎日、友だちと喋りながらさ、同じ道帰ってない?って思うわけよ。なんで同じ道で帰るって。ペットじゃないんだからさ・・・ペットっていうか動物じゃないんだからさ。いろんな帰り方があるわけでしょ?いろんな景色が、いろんなものが吸収できるわけじゃない? で、なんで交差点に立ったらボーっとものを考えたりとかだけしてるの?いつも同じパターンに絶対陥っているはずなんですよ、人って。で、そこでなんで目を閉じて、周りの音を聞こうとしないのかと。そういうところから自分の五感であったりとか、自分のやりたいことであったりとか、そういうところから吸収できていくはずなんでね。もっと自分が見える・・・やっぱりね、想像して養っていくっていうことって、凄く大切で・・・」


何が見えるかゲーム!

「よくね、デートしていてわたしはね、「何が見えるかゲーム」って(いうのを)いつもやるんです。もう最近は、やってないんだけどね。ちょっと忙しいから。えー、それはね、こうやって例えばカノジョなんかとふたりで、クルマ運転しているでしょ?どっか移動したりとかするじゃない。学生時代に凄いよくやっていたんだけど・・・そのときから変態だったんだね、恐らくね。で、公園で移動しててね、ふたりが歩いてるわけよ。誰でもいいんだけどね。池袋の街とか・・・ま、どこでもいいんだけど、歩いてて。で、これはあの、ヒントは『恋人たちの予感』って、ビリー・クリスタル主演の映画があったんだけど、あそこでやってたゲームなんだけどさ、歩いてる人たちがこれからどこへ行って、何をして、どのようにこれから人生を送ろうかっていうのを全部想像しまくるわけ。で、俺が想像して、こっちで・・・カノジョじゃなくても・・・誰か想像するわけ。で、おもろかったほうが勝ちなわけ。ただそれだけ、勝負は」


「つまり、そこにある事実っていうものから、どれだけ想像力を膨らませて、どれだけおもろく賢いことが言えるのかっていうところが、俺、そこってクリエイティビティ凄く高いなと思っていて、結構ね、学生時代、それよくやっていた。「何が見えるゲーム」っていうヤツを。で、湘南辺り歩いててさ、カップル歩いてて、そのカップルが鶴岡八幡宮に向かうのと、やっぱり海岸に向かっていくのとでは、意味が違うわけよ。海岸に向かって行くっていうのは、なんかいかにもデートに向かっている感じがするんだけど、鶴岡のほうに向かっていくっていうのは、違う。で、その手前に駅があるから、これ、帰るかもしれないし、鶴岡に行ってお祈りをするかもしれない。お祈りなんかされたいっていうと、また想像力が膨らむわけですよ(笑い)。「え、何を祈るんだろう?」。もし、あの鶴岡の長い階段をね、男が先を歩いていくのか、女の子の後を付くのか。男が途中で転んだときは、女はどんな表情をするのか?例えば、考える・・・ただそこ歩いているだけでグワーッと考えてしまうわけよね(笑い)。思ってったらね、休む暇ないんだよね」

---一同笑い

「っていうのを、思いつきでストーリーを組み立てながらただ喋るわけよ。で、その喋りながらいかにオチをつけるのかっていうのも考えながら喋るわけね。で、結果的にその女と男が何がきっかけで別れてしまったっていうところまで話したりとか・・・「いや、こいつらは結局親の反対で結婚できなかった」っていうところがオチにするのかわかんないんだけど、いずれにせよ、考えながら話す能力と、考えながらイマジネーション膨らましていく能力っていうのが、ふたつ養われる。これって結構大きいことでさ・・・で、これ趣味なんだけど、そんな感じでやってたっていうのは、あるんだよね。そんなことやってるとね、楽しくてしょうがない。誰に迷惑掛けるわけでもないじゃないっていうのもあるし」

<<前のページ 次のページ>>
1 2 3 4 5

イノ研TOP
Home



当ページの情報をご利用の際は「自己責任」でお願い致します。
©
山田系太楼 Yamada*K*taro